DONGRE BOOKS & STORY CAFEには、

数百冊の「栞本(しおりぼん)」があります。

 

栞本とは、読書体験を誰かにつなげてくれる、

世界でたったひとつだけの古本です。

 

全ての栞本には「しおり」が挟まれており、そこには本との思い出や 感じたこと、

読んだ方のことなど、誰かの読書体験が記されています。

 

良い栞本との出会いは、

本を読むだけではなく、その持ち主のことまでも想像して楽しめる、

そんな特別な時間になることでしょう。

 

どうぞ栞本の世界をお楽しみください。

​栞本のご提供希望の方は、以下の申請フォームよりご連絡ください。

栞本物語「第1章-出会い編」

1.栞本との出会い

今私が手にしている一冊の本には、一枚の栞がはさまっている。その本は、何度も何度も読んできた大好きな本。でも今、改めて全く違った感情で読みふけっている。

その理由は、この本が ” 栞本” だったから。

 

その日私は、近所に突然できて気になっていた古民家のブックカフェをたずねた。歴史ある旧街道沿いで、静かな住宅が立ち並ぶ場所にそのカフェはあった。


お店の中に入ってみると、なるほど、ブックカフェらしく沢山の本が並んでいた。本のジャンルも、年代、そして文庫からハード、美術書や絵本まで、実に様々。どんな本があるんだろう、並んでいるタイトルを見てまわるだけでも楽しくなってくる。手渡されたメニューもまるで本のような革のブックレットになっていて、オーダーを選ぶのもなんだかワクワクする。


その日は深煎りのコーヒーとチーズケーキを一つ注文して、私は早速本の探索に向かった。
店内は外観の古民家の雰囲気とは全く違った異空間。おそらく畳の部屋であったろう店内一面の床は、古材をパッチワークして貼り合わせたオリジナルのデザイン。天井も高く開放されていて、日本家屋ならではの梁もむき出しになっている。 古くて新しい。ありそうでどこにもない。
そんな印象の店内は、まるで本当に物語の一ページに出てきそうな空間だ。
テーブルや本棚から、大きなレジカウンター、天井から吊るされたアンティークなランプシェードまで、いたるところにいろんなアイデアが散りばめられていて、本よりもまず内装に目が移る。そして、どれもいろんな人の” 手垢” が残ってるような、あったかみのある手仕事に見える。
そうこうしながらも、何か本を読もうと思って、改めて選書に意識を向けると、あることに気づいた。

店内のほとんどの本に「しおり」 がはさまっている。
「なんだろう?」と思い、目についた一冊を手にとって開いてみると、栞には誰かの名前とプロフィール、そしてメッセージが書き入れられていた。興味がそそり、そういえば店の入り口に『栞本について』という張り紙があったなと思い当たり、その張り紙を読みに戻る。そこにはこう書かれていた。「店内には、栞本という『世界で一冊だけの古本』が並んでいます」

2.栞本の魅力

本の元々の持ち主のことが書かれた栞。
そしてその人が好きだったであろう一ページにそれがはさまっている。本を持ってきた人と、本を読む人をつなぐ栞。なんてアナログで叙情的な取り組みだろう。興味が湧いて来て、店内の栞本を開いてまわる 。

「この本で人生が大きく変わった」「いつも旅に持って行ってた」、という思い出の本。
「ぜひ誰かに読んでもらいたい」「誰かに届くといいな」という贈る気持ちの本。
ただただ感想が書かれた本や名前はないけどメッセージだけ書かれた本。
とにかくいろんな人のいろんな想いで持ち寄られた栞本が並んでいた。

 

普段は手に取らないような本でも、栞が挿さってると「このページには何かあるのかな?」と気になって手にとってしまう。「さてどの本にしようかな」、と迷いはじめたころ、大好きな本『檸檬 ( 梶井基次郎 著 )』が置いてあるのに気づいた。

 

檸檬は、主人公である梶井が学生時代の鬱屈した心理を背景に、一個のレモンと出会ったときの感動や、それを洋書店の書棚の前に置き、鮮やかなレモンの爆弾を仕掛けたつもりで逃走するという空想が描かれているお話。何度も読んで自分でも持っている本だけど、これにはどんな栞が挿さってるのかな。そんな気持ちで開いてみた。そこにはこう書かれていた。
「檸檬を置く人、置かれた檸檬を見る人。あなたはどっちになりたいですか?」
まさに檸檬を置いた人のようなメッセージだと思った。

自分は、檸檬を置く人か檸檬を見る人か。

改めて、自分が檸檬を置く人か見る人か、を想像しながら読む体験は、時間を忘れるほど楽しく、久しぶりに読みふけってしまった。

3.栞本がつなぐ世界

これは長居になるなと思い、もう一杯コーヒーをいただくことにした。
お店の人に声をかけ、注文をする際、ちょっとした好奇心でこう聞いてみた。
「栞本って、私も持ってきてもいいんですか?」すると嬉しそうな笑顔で「はい、もちろんです。」と答えて、一枚の栞と説明書のような紙を持ってきてくれた。
「これを参考に栞を書いて、またいつでも良いので持ってきてくださいね。」とのこと。
その栞と紙を受け取り、さてどの本を持ってこようかと思いをめぐらせた。

おかわりのコーヒーを淹れてもらった後、お店の人と栞本や本についてたくさん話した。

栞本が始まったきっかけ、これまでどんな本をどんな人がもってきたのか。自分の分身のような本が接点となり、豊かな人生を紡ぐようなブックカフェができたらと、お店をひらいたことなど。私も本を通した体験談などを語り、気がつけば閉店の時間が迫っていた。

ふと見渡すと、だれもいないけど、一冊一冊の本には誰かの痕跡があり、あたたかな気配を感じる。
この不思議な感覚を味わいに、そして読みきれなかった本を読みに、「またここに来よう」と心の中で決め、その日は帰ることにした。

帰り際に「あなたの栞本、楽しみにしてます」と声をかけられ、「はい、また今度」と返事をした。

「次に来るときは本を持ってきますね」と。
次にお店に行く約束を、お店の人と交わしたのは初めての経験かもしれない。
なんだか嬉しくなって、どれを栞本にしようかなと、想像を膨らませながら家路についた。

あなたの栞本、お預かりします。

栞本の物語はまだまだ続きます。あなたもこの物語に参加してみませんか。当店では栞本の提供を随時受け付けております。栞本をお店に置いてみたい、という方はお店に直接お持ちいただくか、下記フォームからご応募ください。

<栞本のルール>

1.本の贈り手は「誰かに読んで欲しい・本を通して誰かと繋がりたい」そんな1冊を選ぶ

2.お店は預かった本を「いつでもお返しできる」ように店内で保管する

<栞本の書き方>

1.名前とプロフィール

名前は本名やニックネーム、お好きなように書いてください。プロフィールは過去の経歴や現在、将来の目標など自由にご記入ください。

また任意でプロフィール欄にQRコードをつけることも可能です。ご自身のSNSやブログ、所属先のWEBなど誰かとつなげたい活動があれば申し込み時にお聞きしますので、アドレスをご用意ください。

2.メッセージを書く

本の感想から、本との思い出話、本をきっかけに得られた経験、次に読む人へのメッセージ、どんな形でも結構です。その本を通して伝えたいこと、発信してみたいことを自由に書いてみてください。小さなことでもまずは伝えてみる。きっとあなただけの物語がはじまります。

3.栞をはさむ

書き終わったしおりをその本の中で一番良いと思える1ページにはさみましょう。

ページをシェアすることで、開く人へのメッセージが深まります。あなたにとって大切な1ページを選んでみてください。

4.栞本を預ける

DONGREE BOOKS & STORY CAFEにお持ちください。貴方の栞本を店内に展示いたします。ご希望があればQRコードをお付けします。あとは、これからどんな人がどんな思いで貴方の本を手に取ることになるのか。どうぞ楽しみにしていてください。

本で繋がる、伝え合う、

栞本の世界へようこそ。

『小さなおくりもの プロポーズ』黒田征太郎/絵 日暮真三/文
▽栞メッセージ

少しばかり昔。私とつれあいはお互いに同じ本を何冊か持って一緒に暮らしだしました。その一冊がこの本です。そして私たちは夫婦になり、今年25年をむかえます。
あなたの告白を待っている人に届きますように。
▽店主より
詩集のような、絵本のような、どちらとも取れない抽象的な本の世界観。
確かに繋がる人の優しさと愛が、ほっこりさせてくれます。
ご主人との思い出の本をご寄贈いただき、ありがとうございます。

『アラスカ 風のような物語 』星野道夫/著
▽栞メッセージ

クジラの民。この章を何度も読みました。

自分の暮らしにとって何か大事な事が描かれているような気がしています。

▽店主より

クジラと向き合う、ただただシンプルな営みが、壮大な物語に感じられる不思議な読書体験でした。「何か大事な事」それは、身の回りの普通の暮らしに"如何に感動できるか"、そんなことが問われている気がしました。

『ウイルスちゃん 』暁方ミセイ/著
▽栞メッセージ

「あるか、あなたは、世界を受け入れたことが あいしてる」
この言葉にうちぬかれました

おおげさだけれど
人生の岐路に立たされたときに
よく晴れた日に
この言葉を想い涙が出ました
この言葉から曲が出来ました
いつかあなたにも聴いてもらえたら。

▽店主より

第二回ふるほんマルシェで初出演してくれた歌い手さんの寄贈。ライブ中にこの本との出会いで生まれたという一曲を聴いて、身震いしました。そしてマルシェ終了後に家に帰り、最初に開いたのがこの本でした。歌と本。二度の感動をありがとう。

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